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出典 | Narrative of the Expedition of an American Squadron to the China Seas and Japan, Performed in the Years of 1852, 1852, and 1854, Under the Command of Commodore M. C. Perry |
出版 | P. S. Duval & Co. Philadelphia |
画題 | JAPANESE COOPER (函館の桶屋) |
画工 | Rechardson-Cox |
画寸 | 152 x 228mm / 石版画 |
所蔵 | Ichikawa, hiroyasu |
「実質的及び機械的技術において日本人は非常な巧緻を示している。そして彼等の道具の粗末さ、機会に対する知識の不完全を考慮するとき、彼等の手工上の技術の完全なことはすばらしいもののようである。日本の手工業者は世界における如何なる手工業者にも劣らず熟達であって、人民の発明力をもっと自由に発達させるならば日本人は最も成功している工業国民(マニュファクチャーリング・ネーションズ)に何時までも劣ってはいないことだろう。他の国民の物質的進歩の成果を学ぶ彼らの好奇心、それを自らの使用にあてる敏速さによって、これら人民を他国民との交通から孤立せしめている政府の排外政策の程度が少ないならば、彼等は間もなく最も恵まれた国々の水準にまで達するだろう。日本人が一度文明世界の過去及び現在の技能を所有したならば、強力な競争者として、将来の機械工業の成功を目指す競争に加わるだろう。 すべてのアメリカ人は、木造の家屋を建築する際に日本の大工たちが示した熟練した技術、すなわち整理の巧みさ、接合の滑らかな仕上げ、床張りの整然さ、窓框、移動式戸板(Movable door panel)及び幕のきちんとしたはめ方と滑りよさを歎賞した。家屋や公共建築物全体の設計は、構造の細部の仕上げよりも甚だ劣っていた。前者は画一的で、又多分昔の型に従っているのでもあり、又疑いもなく、政府から定められた規格内に創造力が制限せられていることを示すものであったが、細部の仕上げは経験が進むに従って獲られた完全さを示していた。<中略> 函館の桶屋も甚だ熟達していることを発見した。同地では乾魚および粕漬魚を詰める桶が絶えずたくさん製作されていた。その桶は小桶型で上のほうが膨れており、編んだ竹をもって手早く巧みに箍(たが)をされる。」(岩波文庫/「ペルリ提督日本遠征記」)。 有名な、ぺリーによる日本の将来を予見した一節。 対応する図版は、この桶屋と鍛冶屋。いずれも、作業する者と、その熟達した技を見学する者とが描かれている。 |