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出典 "Le Japon illustre" Aime Humbert, 1870
出版 Hachette in Paris
画題 MITRONS JAPONAIS PILANT LE RIZ
画工
画寸 159 x 237mm / 銅版画
所蔵 Ichikawa, hiroyasu

 これから蒸しあがったもち米を臼で捏ね始めるところである。注目すべきは、後方の三人。これは「狐拳」をしている。狐拳(きつねけん)は、じゃんけんなどと類似の拳遊びの一種。狐は猟師に鉄砲で撃たれ、猟師は庄屋に頭が上がらず、庄屋は狐に化かされる、という三すくみの関係を、腕を用いた動作で勝負を決する。それぞれの動作は、以下のとおり。
 【狐】掌を広げ、指を揃えて頭の上に相手に向けて添え、狐の耳を模する。
 【猟師】両手で握り拳を作り、鉄砲を構えるように前後をずらして胸の前に構える。
 【庄屋】正座した膝の上に手を添える。
 通常、図版で描かれている拳の図はだいたい二人で打っているところが多いので、三人三様のものが描かれている資料は珍しい。