はがき2枚続きの大きさ。富士見寺として知られる竜華寺からの眺め。
 この葉書は、撮影日がわかっている。画面全体に黒煙を上げているのは、大正9年3月29日、旗艦榛名を始めとする大日本帝国海軍第二艦隊が清水港に入港したときの様子である。当時の新聞は、黒鉛が湾内一杯にたなびいたと報じている。
 遠景は、向かって左手から、清見寺〜薩た峠〜富士山〜愛鷹山。右手、巴川河口から貝島にかけて「羽衣橋」がかかっている。江戸の情緒あふれる風光から近代工業国家へ変貌しつつある、まさにその時代の様子が伺える。羽衣橋の上には「最勝閣」も写っている。