葉書の時代判定の目安


1900年(明治33年)




1907年(明治40年)

絵葉書の表面(宛名を書く面)の下部3分の1以内に、通信文の記載を認める

1918年(大正7年)

通信文の記載部分を3分の1から2分の1に拡大


1933年(昭和8年)~

上部の「はかき」が「はがき」に



はがき料金の変遷
■明治16年1月1日から         1銭
■明治32年4月1日から       1銭5厘
■大正12年4月1日から         2銭
■昭和19年4月1日から         3銭
■昭和20年4月1日から         5銭
■昭和21年7月25日から       15銭
■昭和22年4月1日から        50銭
■昭和23年7月10日から        2円
■昭和26年11月1日から        5円


著作権について


絵葉書の著作権は、もともと撮影者または発行者にありますが、50年経過後、著作権は消滅します。
一方、最初のオリジナルの所有権は、当然、50年経過後も撮影者または発行者にありますから、オリジナルを使用する場合には、使用許諾を得なければなりません。
しかし、オリジナルを使用せず、複製物として発行された個々の絵葉書のほうを使用する場合には、著作権が消滅した50年後には、個々の複製物の所有者の使用権と使用許諾権だけを考えればよいことになります。
なお、このホームページで掲載した古絵葉書は、すべて私の所有の絵葉書であり、すべて昭和8年以前の印刷物からの転載です。


古絵葉書小史


 日本で私製葉書が認められたのは明治33年(1900)年10月1日、また最初の官製絵葉書は、明治35年(1902年)6月18日に逓信省が「万国郵便聯合加盟二十五年祝典記念」六枚一組五銭で発行したものとされているようだが、私製絵葉書のはじまりはもう少し早い。石井研堂の「明治事物起源」によれば、明治33年10月5日発行の『今世少年』第一巻九号に付録として付いていた「二少年シヤボン球を吹く図」の彩色石版摺り絵葉書が、その嚆矢とする。
 下記の画像は、官製はがきに印刷された富士の写真で、明治33年9月10日の消印がある。銅版または鉛版印刷と思われ、富士山の「写真絵葉書」としては早いものの部類。剣が峰が左にあり、吉原湊付近からの撮影かと思われる。
 絵葉書がさらに一般化するようになったきっかけは、逓信省が日露戦争の絵葉書のシリーズもの(全8回,47種)を発行した明治37年以降のことで、発行日には徹夜の行列ができたという。メディアの限られていた当時、まずはニュース性のあるものが喜ばれた。
 また外国人を対象とした日本土産としても、日本情緒あふれる美しい絵葉書も数多く製作された。とりわけ富士山麓域では、富士山があるというだけで、地元に住む人々のごく普通の生活の一コマ一コマ――農作業風景やら横丁の風景やら橋を渡る人々の様子やら――までもが写し込まれており、これらは今となっては大変貴重な郷土研究資料となっている。


裏面。銅版または鉛版印刷と思われる。左右反転して掲載。


表面。1900年9月10日ドイツ船内局消印(長崎より差出)
  ⇒同11月10日 ドイツ・ブレーメン着印の絵葉書。






御殿場市萩原。「SOUVENIR 1908」のスタンプ。右手の道は箱根裏街道か。



場所同定の目安 富士山の谷筋の名前




国土交通省富士砂防事務所地図より作者が調整


参 考 文 献


鈴木富男『東海道 吉原宿』 1995年 駿河郷土史研究会
沼津市明治資料館『企画展 絵葉書に見る沼津の名所』2001年
鈴木富男・奈木盛雄 『ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 富士』1985年 国
書刊行会
小野真一『ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 沼津』1984年 国書刊行会
沼津市明治資料館『蘭契社 明治41年発行 沼津の栞』(復刻版)1984年
若林敦之監修『写真集 静岡県の絵はがき』 1993年 羽衣出版
吉原市史編纂委員会『吉原市史』 1972年
『富士市史』富士市役所 1969年
沼津市史編纂委員会『沼津市史』1961年 沼津市
『浮島が原開拓史』1953年
矢部新作『明治末期の吉原町の地図と思い出』1980年代
遠藤秀雄・辻真澄『富士・富士宮・沼津・三島・駿東歴史散歩』1987年 静岡新聞社
富士市立中央図書館『子どものための郷土資料』1997年-
辻真澄・渡辺好洋監修『目で見る沼津・駿東の100年』1993年 郷土出版社
鈴木憲二監修『写真集 沼津いまむかし』 1987年 郷土出版社
大日本帝国陸地測量部『五万分の一地形図 吉原』 1934年
鈴木富男『鈴川の歴史』 1981年 鈴川区管理委員会
野中至・野中千代子『富士案内 芙蓉日記』2006年平凡社(復刻版)
静岡新聞社『静岡県鉄道物語』1981年
吉原市教育委員会『吉原市の古墳』1958年
富士市立博物館『新市20周年記念展 写真に見る富士の今昔』 1986年
富士市立博物館『第四十二回企画展 描かれた富士のふもと』 1995年
富士市立博物館『第四十七回企画展 富士川を渡る歴史』 2009年
蘭契社『沼津の華』1901年
静岡市『静岡市史』1978年
御殿場市『御殿場市史』1974年
富士市教育委委員会『善得寺の研究』1989年
緑星社『目でみる庵原の歴史』 1978年
緑星社『目でみる富士の歴史』 1975年
大日本帝國陸地測量部『五万分一地形圖 吉原』大正8年
大日本帝國陸地測量部『五万分一地形圖 大宮』大正9年